ぶっちゃけ、インドって、海外赴任先としてどうなの? ~written by H. Yamaryo Vol.10
前回は、シンガポールからインドへ赴任した際の話を書きましたが、ここで一旦小休止して、「ぶっちゃけ、インドって、赴任先としてどうなの?」ということについてお話ししてみたいと思います。
お付き合いいただければ幸いです。
私は自動車関連の会社に勤めていたので、どうしてもその視点での話が中心になってしまうのですが、なるべく偏らずお話しできればと思います。
先に結論からお話しさせていただきますと、駐在員本人からも、その家族からも「インド」は、あまり人気がありません。(少なくともその当時は)
大学生がバックパッカーとしてインドを旅行したり、自分探し(?)でインドを好んで訪れるという人の話はよく聞きますが、実際に赴任する(生活する)となると、とても微妙な国です。
商社の人なんかに話を聞くと、ニューヨーク、ロンドン、パリのような「いかにも」な都市は実はあまり人気がなく、むしろ、これから新たな商圏が開拓できそうな「新興国に赴任したい!」という人は多かったりするそうなので、インドもそこそこ人気があるそうです。(あくまでも本人の思いで、家族の意向は考慮されていないと思いますが…)
(逆に銀行の人は、ニューヨーク、ロンドン、上海といった世界の金融センターに赴任したい人が多いのかと)
私がいた自動車業界の社員が最も多く赴任している地域は北米でした。
とはいえ、居住場所は、どうしても生産拠点の近くになりますので、ニューヨークとかの華やかなところではなく、ミシガンとか、ケンタッキーとか、オハイオとか、ちょっとカントリーサイドになります。(それはそれで、都市と大自然が満喫できていいそうです)
次に多いのは中国。(現在は北米を抜いているかもしれません。)
当時から、世界の中で自動車の生産台数は中国がダントツに多かったので、相当の人数が中国全域に駐在していました。
そして、その次に多い地域が東南アジア。
東南アジアは、かつては、それぞれの国で、それぞれ生産していましたが、自動車メーカー各社が2010年前後から、タイを東南アジアのマザー生産拠点と位置付けるようになっていったため、駐在員もタイに集約されるようになってきました。(私がシンガポール赴任していた2008~2010年の間にも、かなりの駐在員がシンガポールからタイへ異動していきました)
その次は、欧州、南米、中東、といった感じでした。
そこで忘れてはいけないのはインドです。
今一つ、どこの地域にも属していないインドですが、自動車業界という視点でいえば、世界第4位の生産台数を誇る巨大マーケットです。(世界第2位の人口の国ですので、今後も益々大きくなる優良市場)
ですので、「そこで一旗揚げたい!」と野心のある、商社マンのような志を持った人なら、「インドに行きたいです!」と自ら名乗りでてもいいはずなのですが…
残念ながら自動車業界の私の周りには、そういった奇特な人はあまりいなかったような気がします。(今は分かりませんが…)
それだけ、「インドのイメージ」に不安を感じる人は多かったのだと思います。
特に生活面に。
なので、サラリーマンとしては、「辞令」という伝家の宝刀?を抜かれたら、「覚悟を決めていくしかない」というのが実際のところではなかったのかと。
ですが「聞くと見るとは大違い」「住めば都」ではないですが、実際に赴任してみたら、インドはそんなに悪いところではありませんでした。
仕事の面で言えば、前述した通り、自動車産業は拡大基調で、遣り甲斐はありましたし、生活面でも「とんでもなく大変!」というほどでもありません。(前回書いた通り、最初にアパートメントに入居したときは大変でしたが…笑)
また、自動車関連の会社は土曜日出勤(月に1回か2回は土曜も休み)だったのですが、その分、日本と休みの日数を合わせるため、駐在員は年に3回、各2週間ほどの長期休みが貰えました。
それ以外に、2カ月に一度ぐらい、土日が連続で休みの時に有休を1日か2日付けて、バンコクか、シンガポール、もしくはドバイ等へ買い出し旅行に行けましたし、それ以外にヒンドゥー教の祝祭日の休み(デワリ)があります。
ですので、最低年10回はインドから世界中へ旅行をするという生活を送りました。
それはあくまでも、私の会社のレギュレーションだったので、他社とは違うとは思いますが、日系企業でそんな感じのところは割と多かったと思います。
一般的に、海外に赴任するとその国のカレンダー通りの勤務になりますので、長期休みは夏休みと、クリスマス休暇の年2回だけ、みたいな国が多いことを考えると、インドは、ある意味、「バケーション天国(?)」だったような気がします。
すみません、なんだか能天気な話になってしまいましたが…
ただ、そういった待遇面のことだけでなく、特殊な場所(国)に住んでみるということは、人生にとって意外と悪いことでもなかったと思います。
特に、夫婦で、そういった経験をしたら、一生それで会話に苦労することはありません。笑
夫婦の絆が、より一層強くなるような気がします。
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