シンガポール駐在員のルーティン ~written by H. Yamaryo Vol.7
こんにちは、イー・マリッジの山領 均(やまりょう ひとし)です。
前回は、転職について、そしてシンガポールの生活について、お話しましたが、今回は、シンガポールの海外駐在員のルーティン(あくまでも私のケースですが)について書きたいと思います。
お付き合いいただければ幸いです。
私事になりますが、私は、中学の3年間を大阪府の豊中市で暮らしました。
妻も同じような境遇の幼少期だったのですが、私も転勤族の家庭で、関東、東北、関西と、何度か転校を繰り返すような幼少期を過ごしました。
「本拠地はどこか?」と言われれば、一番長く住んでいた関東だと思っていますし、又、たぶん自分の性格的なものも、どちらかと言えば“関東ぽく”あったとは思いますので、東北の仙台に住んだときは、そののほほんとした空気感に、あっさり馴染めたのですが、スピード感のある、どちらかというと個性が強い関西は、ちょうど多感な時期とも重なって、かなりの“アウエー感”を抱いていたような気がします。
そんな時に、塾をさぼって自転車で行った、伊丹空港(大阪国際空港)の千里川の土手は、自分の人間形成に大きなインパクトを与えるものになりました。(ちょっとオーバーかもしれませんが)
そこは今でも「飛行機ファンの聖地」とも呼ばれるスポットで、滑走路の端ギリギリのところで、離着陸する飛行機を見ることができます。
特に着陸する飛行機が侵入してくるときは、その巨大な物体が、まるで自分にぶつかってくるように向かってきて、石を投げたら当たるんじゃないか?ぐらいの、直ぐ真上を通過していきます。
ものすごい、大迫力です。
それからです、自分が飛行機好き(飛行機オタ?)になったのは。
途中、遠ざかった時期もありましたが、その中学生の時から、今に至るまで「月間エアライン」(飛行機の中でも旅客機情報に限定した雑誌)は読み続けています。
(かつて妻のブログで、シンガポールの紀伊国屋書店での「月刊エアライン争奪戦」について書いていたかと思います)
今まで、「パイロットになりたい!」とか、「航空会社で働きたい!」とか、そんな直接的な思いを持ったことはなかったのですが、「飛行機が身近にある人にはなりたい」とそんな、漠然とした夢は常に心の中にあったと思います。
その夢が叶ったのが、シンガポールに赴任してからです。
(前段が長くなり申し訳ありませんでした)
シンガポールは小さい国ですので、メーカーの生産拠点は、ほぼありませんが、金融、経済、物流的には、東南アジア、西アジアへの「ゲートウエイ」になります。
ですので、外資系企業のシンガポール拠点の位置づけは、東南アジア、西アジアの「リージョンヘッド」(域内本社)としているところが多いと思います。
なので、シンガポールの海外駐在員は“出張ばかり”という人が多いです。
日曜の夜の便でインドに行って、火曜日の早朝戻ってきて、そのままシンガポールのオフィスに行って、水曜日は朝からバンコクへ行って、木曜日の夜にシンガポールに戻ってきて、金曜日は早朝の便でジャカルタへ行って、日帰りで、その日の夜の便で戻ってくる。
来週は、マニラ、ホーチミン…と、そんな生活が一年中続きます。
SQ(シンガポール航空)のマイルがどんどん溜まっていき、カードのステータスがあっと言う間にアップグレードされていきます。(シンガポール駐在員あるあるです)
ですが、そんな生活ですので、シンガポールで一緒に暮らしている妻たちは、なかなか夫とは会えません。
わざわざ異国の地まで付いてきたのに、「ほぼ一人暮らし」ということすら起こります。(駐在員の中には「シンガポール未亡人」という言葉もあったように思います)
インドネシアのジャカルタや、その後赴任することになるインドのデリーといった、ある意味不自由さを感じるような国であれば、なんだかんだ日本人同士の交流も多いですし、日本人同士助けあって、という空気感があるのですが、シンガポールみたいに、日本と変わらない国、下手したら、日本よりも安全で安心で便利で住みやすく国であるシンガポールでは、自分から動かないと「孤独感」を抱くこともあるのかと思います。
楽しく仕事ができて、さらに子供の頃からの夢の飛行機もいっぱい乗れて、充実したシンガポール生活を送っていた自分が言うのも恐縮なのですが、海外駐在中は、奥さんの「自助努力」は必要です。
決して、「俺が仕事をしている時は、家のことは、お前がしっかりやっとけよ!」なんて、世界中を敵に回すようなことは言いませんし、たとえあまり家にいないシンガポールの駐在員といえども、もちろん、家族をサポートする責任があります。
ですが、少なくとも自分が出張でいない間は、奥さんには「できるだけ健やかでいてほしい」と願っているのも、駐在員夫たちの、本音の部分ではないかと思います。
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