婚活ノート。イー・マリッジ代表 山領有紀子のブログ

結婚と宗教

 

1999年に私が夫の転勤で初めて住んだ海外はインドネシアでした。
インドネシアは、世界最大のイスラム教徒の国です。

 

イスラム教というと、聖地メッカがあるサウジアラビアとか、中東の国々のイメージが強いですが、“人数”だけを見ると、世界第4位の人口(2億7千万人)を持つインドネシアが、圧倒的となります。(人口の87%がイスラム教徒)

 

インドネシア(ジャカルタ)に住んだことがある人が最初に触れる「宗教色」の一つに、1日5回、どこからともなく、結構な大音量で流れてくる「コーラン」があります。(イスラム教の聖典です)

 

それを聞いた時に、初めて、「インドネシアにいるんだ」「イスラム教の国なんだ」と実感したのを覚えています。

 

その後に住んだシンガポールは、仏教33%、キリスト教19%、無宗教18.5%、イスラム教14%、その他といった感じで、多民族国家ならではの、多宗教の国です。

 

ちなみに、3番目に住んだインドは、人口の80%がヒンドゥー教徒です。
(もちろん世界最大のヒンドゥー教の国です)

 

その3ヵ国の中で、もっとも「宗教色」が感じられなかったのは、生活全般においても、日本との違いをほとんど感じることのなかった、シンガポールでした。

ですが、それでも、人々の考え方や、立ち振る舞いの中に「宗教」というものを、意識せざるをえない場面もあったような気がします(あくまでも私の感覚ですが…)

 

実際に、住んだことがある外国がその3ヵ国だけなので、それだけで、どうこういうのも一面的かもしれませんが…「外国」というところは、「宗教」というものが、少なくとも日本よりは、誰の中にも身近にあり、生活と共にあるものなんだ、という認識を持つようになりました。

 

ちょっと、話しの方向は変わりますが…

日本でも、当然、宗教を持っている方は沢山いらっしゃって、また、その信仰の深さも、その人、その人に拠って違うのだと思います。

 

日本は、仏教31%、神道3%、キリスト教1%、無宗教62%、その他3%と言われています。(NHK放送文化研究所)。ただ、無宗教の人でも、お葬式の時だけは、お坊さんに来てもらったり、お寺でしたり、逆に仏教の人でも、結婚式は教会や神社で挙げたりと…、ファジーというか、そんなにこだわりの無い人も、結構いらっしゃるのだと思います。

 

ですが、もし、出会って、恋に落ちて、結婚したいと考えるようになった人が、宗教に対し強い信仰心をお持ちの方だったとしたら、「結婚したら、自分はどうすればいいのだろう?」と…考えざるをえないこともあるのだと思います。

 

これは、なかなか、難しい問題で…
特に、”方向性”が同じであるというのが、一つの絶対条件となる「結婚」において、「信仰」という、心の在り方の違いは、簡単にスルーするわけにはいかない問題なのだと思います。

 

とはいえ、実際には、世の中には、夫婦で違う宗教という方も多くいらっしゃって…

 

以前、ご主人が仏教、奥様がキリスト教(熱心に日曜日のミサを欠かさない)という方のお話を伺ったことがあります。
その時おっしゃられていたのが、「お互いの宗教を尊重し、干渉しない」「子供には自由意志で選ばせる。どちらも無いという選択肢もあり」「どちらかの親戚の冠婚葬祭の時は、相手の流儀に合わせる」等々、そういったことを結婚の前に話しあったそうです。

実際に、それで、20年以上夫婦として、特に問題も無く、幸せに、やってこれているとのことでした。

 

結婚というのは、それまで全く違う生き方をしてきた者同士が、たまたま出会って、そしてそこから、無二の存在である“夫婦”として、何年も、年十年も、一緒に暮らしていくというものです。

 

事前に、何百項目のチェックシートを作って、それを全て確認するといったことは必要はありませんが…(笑)、それでも結婚前に気になること、逆にちょっと聞きにくいこと(宗教の話等)でも、それが、今後の結婚生活に、何かしらの影響を与えると思うものであれば、勇気を持って話し合うべきなのだと思います。

 

それによって、前向きに解決できることもあると思いますし、結婚前にわかってよかったということもあるのだと思います。